ペインクリニック

東京慈恵会医科大学附属病院 ペインクリニックの紹介

 

■施設概要 

東京慈恵会医科大学附属病院(本院)は、東京タワー、増上寺、芝公園にほど近い東京都港区西新橋に位置し、三田線御成門駅より徒歩3分、このほか地下鉄内幸町駅・神谷町駅・虎ノ門駅・新橋駅・大門駅・霞ケ関駅からも徒歩圏内にあります。4附属病院(本院、柏、青戸、第三)を併せると約2700床、1日の外来患者数は約7500名と、日本国内でも有数の大学附属病院のひとつです。

 東京慈恵会医科大学附属病院ペインクリニック(以下当ペインクリニック)は、20064月から就任した北原診療部長が、University of Washington Multidisciplinary Pain Centerでの臨床留学経験(注1)を活かし、院内複数他科と連携した集学的痛み治療を目指し、治療にあたっています。ペインクリニックは本院でのみ開設しています。

当ペインクリニックの特色 日本では「ペインクリニック≒神経ブロック」という印象が強いですが、ペインクリニックで最も重要なことは、正確な診断とそれに基づく的確な治療プランの作成・遂行です。

 当ペインクリニックでは「オペラント条件付け認知行動療法」を基礎とした診療をしています。例えば、痛みの評価は、痛みの一面にすぎない痛みの強度や頻度だけではなく、身体的機能、心理的機能、患者の全般的な満足度、有害事象なども含めた全人的な評価をしています。治療は、薬物療法、運動療法、心理的アプローチ、各種神経ブロック療法、IMS(注2)等を組み合わせて行っています。また、当ペインクリニックは、乳房切除後疼痛症候群(注3)の診断・治療を行っている日本では数少ない施設の一つです。

 診察は原則として完全予約制で、院内他科や他院で治療に難渋している難治性慢性疼痛患者が主です。2008年度の新患数は約600人であり、ほとんどが慢性疼痛患者です。

 また、大学附属病院のペインクリニックとして、教育、研究も重要な責務と位置づけています。特に教育には力を注いでいて、医学生、ナース、麻酔科ローテータ(注4)、ペインフェローに対し講義や臨床実習などに多くの時間を割いています。

 

■今後の課題 

麻酔科医不足・ペインクリニック専属医不足の報道が増える中、マンパワーに恵まれる当科は、関東圏におけるペインクリニックの中核施設を目指したいと思います。 現在は、本院にのみペインクリニックを開設していますが、将来的に4附属病院すべてにペイン外来を開く予定です。そして、各附属病院間の連携、各附属病院と地元医師会との連携(OBが多く、医師会で顔が広いのも創立から130年近い歴史を持つ慈恵医大の特徴です)を強め、垂直・水平の分業構造を活かして地域医療の質の向上に繋げたいと考えています。

 

■ペインフェロー募集 

東京慈恵会医科大学附属の各病院(柏、青戸、第三)でのペインクリニックの開設、および当科で行っている診療技術・知識の普及のため、ペインフェローを募集しています。勤務期間を含む条件などについては相談に応じます。

 特に、乳房切除後疼痛症候群の診断・治療に興味のある女性医師の方は、是非ご一報ください。

 

■最後に、スタッフより一言

・患者さんの話を聞き、所見をとりながら痛みの原因を診断していく過程は、(不謹慎かもしれませんが)推理小説を読み解いていくようなスリルがあります。私がアメリカで学んできた事を一人でも多くの人に伝えたい!と思っています。(北原診療部長)

 

・痛みと向き合う事の難しさ、奥深さを日々感じています。ここで痛みというものを患者のあらゆる面から捉えることの大切さを知りました。医師の治療方針を理解し、患者に積極的にじっくりと関わる必要があるため、治療をするチームの一員としての看護師の役割は大きく、とてもやりがいがあります。(佐藤主任看護師)

 

・痛みは見えない、また他人には理解されにくいものです。一人で悩まず、「終わりのみえない痛み」から解放され、痛みと上手に共存していく方法を一緒に考えましょう。(小島医師)

 

'痛み'というさまざまな因子の影響を受ける症状に対し、生物心理社会的手段を用いることで一次、二次、三次予防までを目的とし、全人的な医療を提供しています。また、大学病院内の一施設でありながら、役職に捕らわれずスタッフ間で自由闊達な意見交換を行っています。(平林医師)

 

・当院のペインクリニックは患者さんひとりひとりに対して、全人的な治療を目指しています。患者さんが主体的となって、痛みと向き合えるよう、スタッフがお手伝いいたします。アットホームな空間が、他の科にはない、温かい雰囲気を醸し出しています。(澤田看護師)

 

・痛みと向き合うためにには正しい診断と治療方法、そして何よりも患者さんの気持ちになって考えられる良き医療者との出会いが必要不可欠だと思います。慈恵医大ペインクリニック外来では、患者さん一人一人の状況に合ったオーダーメイドの治療法で様々な痛みのニーズに応えております。(大友医師)

 

  

北原診療部長と外来のメンバー           筋肉内刺激法で用いる針(右上)と神経ブロックで用いる注射器

 

  

月一回の勉強会の様子                                  運動療法の勉強会(?)

 

  

スタッフ交流会(他院や外国からの見学者も参加) 

 

 

注1 北原診療部長は、痛みの治療を学ぶことを目的として留学した数少ない医師の一人です。留学先のUniversity of Washington Multidisciplinary Pain Centerは、痛みを医療の一領域として始めて位置づけたDr. Bonicaが設立した世界最初のペインセンターです。

 

注2 IMSIntramuscular Stimulation: 筋肉内刺激法)とは、北原診療部長がアメリカ留学中に習得した痛みの治療法の一つです。筋肉の痛み(筋筋膜性疼痛)の治療に劇的な効果を示します。

 

注3 乳房切除後疼痛症候群とは、主として乳癌による乳房切除後に起こる慢性疼痛です。発生率は2050%程度とかなり高率で、日本以外の先進国では比較的良く知られています。しかし、日本での認知度は低く、未だに多くの患者が痛みに苦しんでいます。

 

注4 東京慈恵会医科大学麻酔科では、後期研修の教育の一環として2ヶ月間のペインクリニックのローテーションを行っています。